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May 04, 2017

[Journey] 青森県野辺地町~七戸町 '17. 5. 4

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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

昨日津軽半島の先端・竜飛崎まで行ったのだから今日は津軽海峡を越えればサマになるのだけど、青森からあと戻りして、下北半島の付け根にある野辺地駅に降りる。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

まず、町の中心にある八幡様へお参り。ここにはご朱印があると聞いていたけれど、あいにく不在のようだった。

野辺地を初めて訪れたのは大学3回生の夏休みのときだった。

その年は休みの前半にアルバイトをして、後半は稼いだ金で旅行した。当時、周りの旅好きな友人の間で最も人気があった旅先は北海道だった。だが北海道に行けるほど働かなかった私は、東北ワイド周遊券を買って北東北を巡った。

ワイド周遊券とは一定範囲内の国鉄の列車が乗り放題のきっぷで、現在あるフリーきっぷの類と似ているけれど、乗り放題の範囲が広いことと有効期間が長いのが特長だった。東北ワイド周遊券は、郡山や新潟あたりから青森までの範囲の新幹線以外の国鉄線が乗り放題で、当時住んでいた京都発のものは20日間有効だった。

乗り放題のきっぷで貧乏旅行をすると、訪れる先は鉄道がらみの、というか鉄道だけで行けるところが多くなった。路線バスの運賃を別払いすることさえ惜しんだからだ。

そして、この旅で野辺地を何度も通った。野辺地には鉄道路線が集まっていた。東西に横断する東北本線、下北半島沿いに北上する大湊線。それから、南の七戸(しちのへ)に伸びる南部縦貫鉄道という私鉄があった。一昨日触れた南部鉄道とは、また別の会社だ。この「南部」という名前は、旧南部藩(の領地)であったことに由来する。どこかから見て南にあるという意味ではなく、もとをたどれば人名だ。南部縦貫鉄道の列車は一日5往復だった。今にもなくなってしまいそうな気配だったので、運賃別払いにも関わらず乗ってみた。

それにしてもなんでわざわざそんな列車に乗ったのだろうかと今考えると、そのときは時刻表以外に旅行関係の本を持たず、時刻表をガイドブック代わりにしていたからではなかったかと思う。時刻表には旅館、ビジネスホテル、国民宿舎からカプセルホテルまでリーズナブルな宿の広告も載っていたので、宿泊先を探すこともできた。インターネットがある現在では考えられないけれど、当時はそこに載っている宿情報と列車の時間と路線図を組み合わせて想像力を働かせ、旅程を決めていた。

南部縦貫鉄道の列車は、くたびれたバスのような形をした小さなディーゼル車だった。

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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

野辺地駅で撮った南部縦貫鉄道の列車。昭和の田舎の私鉄ということを十二分に考慮しても浮世離れした外観。暇も十二分にあったので、乗っただけでなく、終点の七戸駅付近では線路際を歩いて、数少ない列車が走る姿を撮った。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA MD Rokkor 200mm F4 (1985. 9)

南部縦貫鉄道は、2002年に廃止されてしまった。列車を撮るために歩いたあたりには今、あのころ影も形もなかった東北新幹線が通っている。

野辺地駅からバスで新幹線の七戸十和田駅へ移動する。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

七戸十和田駅。見た目は、ごく一般的な新幹線の駅だ。ここから3キロ離れたところに南部縦貫鉄道の終点だった七戸駅があった。地図で確認すると、七戸駅があった場所のほうが町の中心に近いようだ。

列車を撮った時の面影を探しながら歩いたけれど、線路跡はわからなかった。

1時間近く歩くと、見覚えのある建物が現れた。

30年前の七戸駅。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

そして今、目の前にある建物。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

倉庫のような形が特徴的だった駅舎は、ほぼそのまま残されていた。

今日ここに来たのは、南部縦貫鉄道の車両の撮影会が催されると聞いたためだ。ここで走っていた車両は、廃線後の今も、ほぼ全て動かせる状態で保存されている。そしてゴールデンウイークなどの時期に、有志の方々が車両を車庫から出して駅の構内を走らせるという催しを行っているのだ。

駅建屋に入ると、当時の時刻表などが展示されているのが目に入った。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

あー時刻表。昔撮っていたんだなこれも…。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

ホームに足を運ぶ。構内には先客のマニアの方々が、ざっと数えて百名はいる。だが敷地が広いので、ほどよくバラけている。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

車両は、まだ車庫の中にあった。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

正午になると、一両ずつ出庫して駅構内の線路を走りはじめた。

列車が通りすぎる。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

おおおおお。これだよ、これ。30年ぶりに、走る姿を目の当たりにした。しかし、当時としても時代物だった車両(1962年製とのこと)が、目の前を通過する光景には、不思議と現実感がなかった。おそらく現役時代を知らない人にとっては、この車両は大きさといい形といい、遊園地のアトラクションといわれたほうがしっくり来るだろう。だがこれ、私が若かった頃にはリアルに走っておったのだよ。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

はじめは結構感動していたけれど、線路を何度も往復する姿を見送っているうちに飽きてきた。

…ここで飽きるようだから、正直いって私は鉄道マニアにはなりきれない。

駅舎の中に設けられた売店でグッズを買う。少しでも活動費の足しになればと思い、かつ、かさばらずに何か手ごろな土産になるものがないかと悩んで物差しを購入。というのもこの撮影会、実は参加費無料なのだ。子供を連れて近所から来ているような感じの人たちもいたので、そういった人から搾取するのは若干気が引けるけれど、マニアの方々や私のような物好きからはもっとガツガツ費用を集めてもよいのではないかしらと感じた。


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Tokyo, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2017. 5)

野辺地に戻る。野辺地の駅前にはいくつか食堂がある。そのうちのひとつ、松浦食堂には何度か入ったことがあった。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

ちょうど遅い昼飯によい時間だった。だが、残念なことに松浦食堂は先月末に店をたたんでいた。

店の前に張り紙があった。

お し ら せ
松浦食堂は、日本鉄道株式会社(1891年)明治二十四年九月一日上野~青森間が全通した時に、当地で開店、国鉄・JR・青い森鉄道と、この駅前で百二十六年間にわたり皆様にお引き立てを頂きましたが、私も傘寿をすぎ四月末をもって閉店させていただくことになりました。
永い間、賜りましたお芳情を深く感謝致します。
有難うございました。

平成二十九年四月


…そしてYouTubeにも、閉店のメッセージが残されていた。

126年の歴史が物語るように存在感があったのも事実だけど、店内は昔よくあった典型的な食堂の雰囲気で、特に値段が高かったり、敷居の高さを感じたりしたことはなかった。

野辺地駅の待合室に掲げられた案内には、まだ松浦食堂の紹介があった。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

私は特に、このホタテ丼が好きだった。あー残念。タッチの差で間に合わなかった。

駅から北へ歩く。市街地を道なりに北へ進むと、海岸に出る。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

十符ヶ浦(とふがうら)海水浴場。ここはJR大湊線の北野辺地駅に近い。

大湊線に初めて乗ったのも、南部縦貫鉄道を訪れたのと同じときの旅行だった。北野辺地のひとつ先にある有戸駅から先の吹越(ふっこし)駅までの間、大湊線の列車はひと気のない砂浜のそばを速度を上げて走っていた。線路はほぼ一直線に通っていたのでスピードを出す気持ちも理解できないわけはなかったけれど、せっかくのよい景色なのにすぐ通り過ぎてしまうのが、もったいなく感じた。

そこで吹越駅で列車を降り、海沿いを歩いた。歩きはじめてからわかったことだけど、有戸と吹越の駅間は10km以上あった。それまで北アルプスの高山地帯でしか見たことがなかった背の低いマツの茂みの中から疾走する列車を撮った。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 135mm F2.8 (1985. 9)

そのあと、海辺に出た。遠浅の海は内海の割に澄んでいて、時間と見る角度によって色を変えた。

この海に魅かれて、その後、何度も大湊線の沿線を訪れた。

だが大湊線の列車本数も決して多くはない。行きやすい場所を探すうち、野辺地からも駅からも近い、この海岸を見つけた。ここは「のへじ海浜公園」という公園にもなっていて、ベンチやビーチバレーコートがあり、過ごしやすい。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

Momosanそしてこの十符ヶ浦海岸の美しさを私以外に誰か讃えている人はおらんのかとネットを検索していて見つけたのが、伊藤桃さんのブログだった。彼女の本業はアイドル歌手なのだけど、旅や鉄道が好きなようで、ブログにはそれらについて多くのことが書かれていた。

伊藤さんは野辺地出身だった。野辺地には陸奥湾があり、そして鉄道の町でもあったな、と、そこで彼女の鉄道好きにも納得した。

伊藤さんはJR全線に乗り、昨年『桃のふわり鉄道旅』という本を出版した。

なんでまた私がAmazonに彼女の本の書評を書いた(そしてサインまでいただいた)かといえば、もとは陸奥湾つながりだったのだ。

陸奥湾は日の沈む頃がいちばん美しい。日没まで、砂浜で過ごす。本日はこれまで。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

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