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May 2017の5件の記事

May 05, 2017

[Journey] 北海道北斗市 '17. 5. 5

初めて、新幹線で青函トンネルを通過する。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

青函トンネルには新幹線の他に普通の貨物列車も走っているため、すれ違い等を考慮してトンネル内の新幹線の最高速度は140km/hに抑えられている。そのせいか、新幹線ができる前に通ったときと感覚はあまり変わらない。だが料金はしっかり上がっている。理解できないわけではないけれど、面白くはない。

9時過ぎに終点の新函館北斗駅に着く。

「新幹線で北海道に来た」ということ以外、特に感慨はなかった。駅に「函館」という名前はついているけれど、ここは函館市ではなく、隣の北斗市だ。そして「北斗市」といわれてもやはりあまり馴染みはないけれど、ここは2006年に二つの町が合併してできた市なのだそうだ。


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Hokkaido, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

画像の左隅に座っているのは北斗市の公式キャラクター「ずーしーほっきー」。

午後の飛行機で東京に帰る予定なので、それまでの間を過ごせる場所を探す。

案内所で地図をいただいて、駅から歩きだす。


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Hokkaido, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

駅を少し離れると畑が広がり、さらに10分くらい歩くと国道に出る。道路沿いに集落があった。


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Hokkaido, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

17050505gosyuin集落の中にあった意冨比(おおひ)神社。

社務所で、書き置きのご朱印をいただく。

この神社には平安時代の康平三歳(1060年)の銘が入った鰐口がある。仮に1060年に創建されたとすると、北海道最古の神社となるそうだ。もっとも、ここの北海道最古神社説は歴史学的にはあまり信憑性が高くないらしい。記録がはっきりしているところでいうと北海道最古の神社は函館市にある函館の船魂神社(1135年創建)なのだそうだ。

またここは函館の五稜郭に政権を作った榎本軍と新政府軍が、1868年に激戦を繰り広げた場所としても知られる。鳥居の後ろにあるイチイの木には、当時の戦いの激しさを物語る弾痕が残る。

…神社で戦争していたのか。

イチイは樹齢7~800年といわれる。この木は、神社の創建までをひっくるめたすべての歴史の真実を知っていることになる。

もう少し先に行くと、しだれ桜があるお寺があると聞いて、さらに足を伸ばす。

もっとも桜はもう期待できないかもしれない…と思っていたけれど、しばらく歩くと、桜並木がちょうど満開を迎えていた。


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Hokkaido, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

昨日、野辺地の町で見たときには桜は散ってしまった後だったけれど、新幹線で桜前線の尻尾をつかまえることができたか(適当)。

周りを行く人の流れが、お寺に向かっているように見える。やがて、法亀寺に着く。境内に屋台が出ていた。その向こうに、一本の大きなしだれ桜があった。


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Hokkaido, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

葉が少しでかけていたけれど、ほぼ満開だった。この旅では、初日に岩手県の遠野で桜を見た。最後にまた、桜の花に追いつくことができた。

駅に戻り、空港行きのバスに乗る。以上をもちまして今回の北海道旅行は終了(…)。

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May 04, 2017

[Journey] 青森県野辺地町~七戸町 '17. 5. 4

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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

昨日津軽半島の先端・竜飛崎まで行ったのだから今日は津軽海峡を越えればサマになるのだけど、青森からあと戻りして、下北半島の付け根にある野辺地駅に降りる。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

まず、町の中心にある八幡様へお参り。ここにはご朱印があると聞いていたけれど、あいにく不在のようだった。

野辺地を初めて訪れたのは大学3回生の夏休みのときだった。

その年は休みの前半にアルバイトをして、後半は稼いだ金で旅行した。当時、周りの旅好きな友人の間で最も人気があった旅先は北海道だった。だが北海道に行けるほど働かなかった私は、東北ワイド周遊券を買って北東北を巡った。

ワイド周遊券とは一定範囲内の国鉄の列車が乗り放題のきっぷで、現在あるフリーきっぷの類と似ているけれど、乗り放題の範囲が広いことと有効期間が長いのが特長だった。東北ワイド周遊券は、郡山や新潟あたりから青森までの範囲の新幹線以外の国鉄線が乗り放題で、当時住んでいた京都発のものは20日間有効だった。

乗り放題のきっぷで貧乏旅行をすると、訪れる先は鉄道がらみの、というか鉄道だけで行けるところが多くなった。路線バスの運賃を別払いすることさえ惜しんだからだ。

そして、この旅で野辺地を何度も通った。野辺地には鉄道路線が集まっていた。東西に横断する東北本線、下北半島沿いに北上する大湊線。それから、南の七戸(しちのへ)に伸びる南部縦貫鉄道という私鉄があった。一昨日触れた南部鉄道とは、また別の会社だ。この「南部」という名前は、旧南部藩(の領地)であったことに由来する。どこかから見て南にあるという意味ではなく、もとをたどれば人名だ。南部縦貫鉄道の列車は一日5往復だった。今にもなくなってしまいそうな気配だったので、運賃別払いにも関わらず乗ってみた。

それにしてもなんでわざわざそんな列車に乗ったのだろうかと今考えると、そのときは時刻表以外に旅行関係の本を持たず、時刻表をガイドブック代わりにしていたからではなかったかと思う。時刻表には旅館、ビジネスホテル、国民宿舎からカプセルホテルまでリーズナブルな宿の広告も載っていたので、宿泊先を探すこともできた。インターネットがある現在では考えられないけれど、当時はそこに載っている宿情報と列車の時間と路線図を組み合わせて想像力を働かせ、旅程を決めていた。

南部縦貫鉄道の列車は、くたびれたバスのような形をした小さなディーゼル車だった。

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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

野辺地駅で撮った南部縦貫鉄道の列車。昭和の田舎の私鉄ということを十二分に考慮しても浮世離れした外観。暇も十二分にあったので、乗っただけでなく、終点の七戸駅付近では線路際を歩いて、数少ない列車が走る姿を撮った。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA MD Rokkor 200mm F4 (1985. 9)

南部縦貫鉄道は、2002年に廃止されてしまった。列車を撮るために歩いたあたりには今、あのころ影も形もなかった東北新幹線が通っている。

野辺地駅からバスで新幹線の七戸十和田駅へ移動する。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

七戸十和田駅。見た目は、ごく一般的な新幹線の駅だ。ここから3キロ離れたところに南部縦貫鉄道の終点だった七戸駅があった。地図で確認すると、七戸駅があった場所のほうが町の中心に近いようだ。

列車を撮った時の面影を探しながら歩いたけれど、線路跡はわからなかった。

1時間近く歩くと、見覚えのある建物が現れた。

30年前の七戸駅。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

そして今、目の前にある建物。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

倉庫のような形が特徴的だった駅舎は、ほぼそのまま残されていた。

今日ここに来たのは、南部縦貫鉄道の車両の撮影会が催されると聞いたためだ。ここで走っていた車両は、廃線後の今も、ほぼ全て動かせる状態で保存されている。そしてゴールデンウイークなどの時期に、有志の方々が車両を車庫から出して駅の構内を走らせるという催しを行っているのだ。

駅建屋に入ると、当時の時刻表などが展示されているのが目に入った。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

あー時刻表。昔撮っていたんだなこれも…。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 50mm F1.7 (1985. 9)

ホームに足を運ぶ。構内には先客のマニアの方々が、ざっと数えて百名はいる。だが敷地が広いので、ほどよくバラけている。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

車両は、まだ車庫の中にあった。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

正午になると、一両ずつ出庫して駅構内の線路を走りはじめた。

列車が通りすぎる。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

おおおおお。これだよ、これ。30年ぶりに、走る姿を目の当たりにした。しかし、当時としても時代物だった車両(1962年製とのこと)が、目の前を通過する光景には、不思議と現実感がなかった。おそらく現役時代を知らない人にとっては、この車両は大きさといい形といい、遊園地のアトラクションといわれたほうがしっくり来るだろう。だがこれ、私が若かった頃にはリアルに走っておったのだよ。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

はじめは結構感動していたけれど、線路を何度も往復する姿を見送っているうちに飽きてきた。

…ここで飽きるようだから、正直いって私は鉄道マニアにはなりきれない。

駅舎の中に設けられた売店でグッズを買う。少しでも活動費の足しになればと思い、かつ、かさばらずに何か手ごろな土産になるものがないかと悩んで物差しを購入。というのもこの撮影会、実は参加費無料なのだ。子供を連れて近所から来ているような感じの人たちもいたので、そういった人から搾取するのは若干気が引けるけれど、マニアの方々や私のような物好きからはもっとガツガツ費用を集めてもよいのではないかしらと感じた。


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Tokyo, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2017. 5)

野辺地に戻る。野辺地の駅前にはいくつか食堂がある。そのうちのひとつ、松浦食堂には何度か入ったことがあった。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

ちょうど遅い昼飯によい時間だった。だが、残念なことに松浦食堂は先月末に店をたたんでいた。

店の前に張り紙があった。

お し ら せ
松浦食堂は、日本鉄道株式会社(1891年)明治二十四年九月一日上野~青森間が全通した時に、当地で開店、国鉄・JR・青い森鉄道と、この駅前で百二十六年間にわたり皆様にお引き立てを頂きましたが、私も傘寿をすぎ四月末をもって閉店させていただくことになりました。
永い間、賜りましたお芳情を深く感謝致します。
有難うございました。

平成二十九年四月


…そしてYouTubeにも、閉店のメッセージが残されていた。

126年の歴史が物語るように存在感があったのも事実だけど、店内は昔よくあった典型的な食堂の雰囲気で、特に値段が高かったり、敷居の高さを感じたりしたことはなかった。

野辺地駅の待合室に掲げられた案内には、まだ松浦食堂の紹介があった。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

私は特に、このホタテ丼が好きだった。あー残念。タッチの差で間に合わなかった。

駅から北へ歩く。市街地を道なりに北へ進むと、海岸に出る。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

十符ヶ浦(とふがうら)海水浴場。ここはJR大湊線の北野辺地駅に近い。

大湊線に初めて乗ったのも、南部縦貫鉄道を訪れたのと同じときの旅行だった。北野辺地のひとつ先にある有戸駅から先の吹越(ふっこし)駅までの間、大湊線の列車はひと気のない砂浜のそばを速度を上げて走っていた。線路はほぼ一直線に通っていたのでスピードを出す気持ちも理解できないわけはなかったけれど、せっかくのよい景色なのにすぐ通り過ぎてしまうのが、もったいなく感じた。

そこで吹越駅で列車を降り、海沿いを歩いた。歩きはじめてからわかったことだけど、有戸と吹越の駅間は10km以上あった。それまで北アルプスの高山地帯でしか見たことがなかった背の低いマツの茂みの中から疾走する列車を撮った。


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Aomori, MINOLTA X-600 with MINOLTA New MD Rokkor 135mm F2.8 (1985. 9)

そのあと、海辺に出た。遠浅の海は内海の割に澄んでいて、時間と見る角度によって色を変えた。

この海に魅かれて、その後、何度も大湊線の沿線を訪れた。

だが大湊線の列車本数も決して多くはない。行きやすい場所を探すうち、野辺地からも駅からも近い、この海岸を見つけた。ここは「のへじ海浜公園」という公園にもなっていて、ベンチやビーチバレーコートがあり、過ごしやすい。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

Momosanそしてこの十符ヶ浦海岸の美しさを私以外に誰か讃えている人はおらんのかとネットを検索していて見つけたのが、伊藤桃さんのブログだった。彼女の本業はアイドル歌手なのだけど、旅や鉄道が好きなようで、ブログにはそれらについて多くのことが書かれていた。

伊藤さんは野辺地出身だった。野辺地には陸奥湾があり、そして鉄道の町でもあったな、と、そこで彼女の鉄道好きにも納得した。

伊藤さんはJR全線に乗り、昨年『桃のふわり鉄道旅』という本を出版した。

なんでまた私がAmazonに彼女の本の書評を書いた(そしてサインまでいただいた)かといえば、もとは陸奥湾つながりだったのだ。

陸奥湾は日の沈む頃がいちばん美しい。日没まで、砂浜で過ごす。本日はこれまで。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

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May 03, 2017

[Journey] 青森県青森市~外ヶ浜町 '17. 5. 3

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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

浅虫温泉駅で、乗っていた青森行きの電車を途中下車。

浅虫温泉は一度も入ったことはないけれど、単に海に近いという理由でこの駅には何度か降りたことがある。次の電車が来るまでの間、陸奥湾を眺めて過ごす。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

一時間後の、次の電車で青森へ。

津軽線に乗り換えて津軽半島を北上する。

終点の三厩(みんまや)まで行く列車の本数は少ない。さっき浅虫温泉駅で降りたのも、津軽線への接続を調べたら一本あとの電車に乗っても着く時間は同じことがわかったからだ。青森から1時間半かけて三厩に着く。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

駅前で待っていた路線バスで、さらに北へ。

バスの終点・竜飛崎。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

北のはずれだ。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)


振り返ると「津軽海峡冬景色歌謡碑」と書かれた碑から「津軽海峡冬景色」の二番のメロディが大音響で流れている。天気がよいせいか、観光客の姿が目立つ。

ここは今までに何度か来たことがある。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

岬の高台から、有名な階段国道を歩いて、海辺に近い集落へ降りる。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

上の画像の手前あたりにぽっかり空いた更地に、たしか昔、よろず屋があった。初めて竜飛を訪ねた、たしか30年くらい前には、路線バスは岬まで行かずにこの三厩の集落で折り返していた。そのとき、竜飛崎へ登る前に荷物を預かってもらったことがあった店だった。それ以来義理を感じて、竜飛に来るたびに立ち寄っては、そこで何かしらの買い物をしていた。一見、昔とあまり変わらぬ風情に思われる竜飛の集落も、寂しく変化していた。


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Aomori, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)
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帰りは三厩駅の数キロ手前でバスを降り、義経寺(ぎけいじ)に立ち寄る。

源義経は岩手県・平泉の衣川で自刃したといわれている通説に対し、義経は北を目指して青森を抜け北海道に渡ったとする「源義経北行伝説」。この説によれば、義経は北海道の手前にあるこの地で荒れ狂う津軽海峡を前に海岸の奇岩上に座して三日三晩観音像に祈り続けたところ、白髪の翁が現れ「三頭の竜馬を与える。これに乗って渡るがいい」といって消え、翌日、岩穴に三頭の竜馬がつながれ、静まった海上を通り義経は無事に北海道に渡ったという。それからここは三馬屋→三厩と呼ばれるようになりました、とされる。そしてこの義経寺には、義経が祈りを捧げたという観音像が安置されている。

参拝し、ご朱印を賜ろうと寺務所にうかがうと、ご住職は法事が忙しく不在といわれた。ゴールデンウィークは帰省してくる人が多く、お盆の時期と同じように法事が重なるのだそうだ。書き置きのご朱印をいただき、歩いて駅へ戻る。

本日はここまで。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

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May 02, 2017

[Journey] 青森県八戸市~新郷村 '17. 5. 2

この日泊まった「新むつ旅館」の館内を二階から見下ろす。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

吹き抜けがある、独特の建築様式。国の有形文化財に指定されている。築100年を優に超える建物だ。

新むつ旅館は1957年まで「新陸奥楼」という名前だった。

かつて小中野には遊郭街があった。新陸奥楼は、最盛期に39軒あったといわれる小中野遊郭のひとつだった。開業は1898年。新むつ旅館は、遊郭だった建物を今も旅館として使っている。現在新むつ旅館をほぼ一人で仕切っている女将さんの話と、ここで見せていただいた資料から当時の様子を振り返る。

八戸市のまん中あたりに位置した小中野遊郭の主な客は漁師だった。1941年、八戸に陸軍飛行場ができ、戦争が始まると兵士の客が増えた。1930年発行の『遊郭案内』なる本によれば、花代は3円30銭。当時の大卒初任給は73~75円だった。それを元に今の貨幣価値に換算すると、おそらく花代は9,000~10,000円くらいに相当する。

当時はトラブル防止のために客は身分を明らかにしなければ遊べなかった。「遊客帳」と書かれた帳簿に記録が残されていた。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

名前や住所だけでなく、職業、年齢や外見、お相手した女性までも書かれていた(ここに載っている人はさすがに現在はほぼ物故者ではないかと思われるけれど、プライバシーを考慮してモザイクをかけました)。

新陸奥楼は、遊郭の割に部屋数が少ない。客室のある2階にある部屋は7つ。また私がこの日泊まった部屋は、妓楼にしては広く感じた。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

「新陸奥楼には娼妓だけではなく芸妓もいたんでしょうね」と女将さんは話した。それを裏付けるように、宴会芸に興じる様子の写真が残されていた。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

他にもたくさんの写真があった。

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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

撮影されたのは昭和初期と思われる。

「この時代に、よくも多くの写真を撮ることができたものですね」と言うと、女将さんは「やっぱり芸者っていうのは、…それだけ特別な職業だったんでしょうね」と話した。思いおもいの形に切り抜かれた写真や剥がされた写真の跡から、写真に写された光景とはまた別の物語が想像された。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

現実に返ると、いま新むつ旅館が抱える最大の問題は、建物の維持管理と老朽化対策にお金がかかることなのだそうだ。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

「有形文化財だから、いいかげんなこと(管理)はできないし」。女将さんは悩んだ末に今月から宿泊料を値上げしたという。しかし多少値上げしたところで、先述したように部屋数が少ないため、維持費をまかなうには十分ではない。それならば、せいぜいどんどん泊まってあげようではないかと思うけれど、女将さんも実は高齢で、旅館が忙しければ忙しいほどよいかといえばそうでもないらしく、難しいところではある。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

新むつ旅館だけで既に今日はお腹いっぱいな感じなのだけど、先を目指す。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

17050211gosyuin八戸の繁華街まで歩き、町なかにある神明宮でご朱印をいただく。「日本一の山車祭り」といわれる八戸三社大祭のときは賑わう神社のようだ。

路線バスで五戸(ごのへ)へ移動。

青森県東部には語尾に「戸」と書いて「へ」と読む地名が多い。一戸から九戸まで、数字が頭につく「戸」は四を除いて八つある。この「戸」には、厩(うまや)の戸の意味があるらしい。

五戸のバスターミナルで「-すみません回送中です SORRY OUT OF SERVICE-」と方向幕に書かれたバスを見た。

この腰が低いバス会社は、南部バスという。

バスターミナル構内に「南部鉄道 使命を果す」と刻まれた碑を見つけた。調べると、1968年まで八戸と五戸の間に路線があった鉄道会社だった。このバスターミナルも、周りに駅がないのに「五戸駅前」という停留所名だった。昔は駅があった場所なのかもしれない。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

そしてさらにこれも調べてわかったのだけど、南部バスは昨年11月に倒産し、岩手県北自動車に事業譲渡していた。倒産の原因は、自動車保有台数の増加などによる利用者数の減少などとのこと。車両や停留所の表示はほとんど南部バスのままだったので、知らなければたぶん気がつかなかった。南部バスの名前も、腰の低い回送表示も、そのうち見られなくなってしまうのかもしれない…ていうか、ここは青森県だけど、岩手のバスになるのか。

バスを乗りかえ、新郷村へ。そして村営のマイクロバスに乗り継ぐ。この村営バスは運賃無料。利用者減に悩む地方の路線バスの、最終対応策を見るような気がする。

住民税も払っていないのに無料のバスに乗るのはなんだか申し訳ない気がするけれど、そこはさすがに地元民のためのバス。車内放送も降車ボタンもない。無料に甘えて黙っていると、終点まで連れていかれる模様。

やがて車は山間部に入った。この辺りは昔「戸来(へらい)」という村だった。ここも数字ではないけれど「戸」がつく地名だ。車窓に目を凝らし「降りまーす」と申告して、無事に下車。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

着いた。

「キリスト公園前」。停留所には「南部バス」と書かれているけれど、南部バスは走っていない。たぶんこれも廃止されて代わりに村営バスが走るようになったのだろう。

ここには「イエス・キリストの墓」といわれる十来塚がある。

前からその存在は気になっていたけれど、やはり交通が不便なため今まで訪れたことがなかった。

ちなみに、この先には「大石神ピラミッド」と呼ばれる巨石群がある。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

この道路表示はウケ狙いの要素も多分に含んでいそうだけど、見た目は強烈だ。「十和田ライン」とあるのは、この道をずっと進むと十和田湖に至るためだ。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

バス停の近くに「キリストっぷ」という売店があった。これが「ミニストップ」にかけた名前であることに気がつくまで10分以上かかった。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

「今年度の営業は終了しました」って、今5月だよ。

ここに「キリストの墓がある」と主張したのは新宗教団体・天津教の教祖、竹内巨麿(たけうちきよまろ)だった。

竹内家に伝わる「竹内文書」によれば「イエス・キリストは実はゴルゴダの丘では処刑されず、弟のイスキリを身代わりにして33歳のときに日本に渡り、106歳で亡くなるまでここで暮らし、その墓は「十来塚」と呼ばれた」と記されているという。1935年8月に大石神のピラミッド確認のため訪れた竹内は、ここで長方形の盛り土を発見し、これが「十来塚」だとした。

その後、ここ戸来が古代イスラエルを指すヘブライ(Hebraea)に由来する地名であるとする説や、この地に伝わる「ナニャドヤラ」という歌はヤハゥエ(Jehovah。古代イスラエルの唯一神)をたたえるヘブライ語の歌であるという説を唱える者が現れるなど、「キリストの墓」伝説は盛り上がりを見せた。

けれども信憑性は、高くならなかった。キリストのほか、モーセやブッダなど大宗教の教祖も皆来日して天皇に仕えたことになっている(モーセの墓は石川県にあるとされる)という、あまりにも大胆な内容の竹内文書は、それ自体の信憑性を疑問視する声のほうが圧倒的に多かったのが現実だった。

私は子供の頃に雑誌か何かでここの存在を知り、モヤモヤした覚えがある。その後、インターネットなどによって信憑性のモヤモヤは薄れていってしまったけれど、現地を見たいという気持ちは持ち続けていた。

まず公園内にある「キリストの里伝承館」に行き、キリストの墓伝説の詳細を学習する。入場料¥200。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

キリストの里伝承館は森の中の教会風で、周りの景観に馴染んでいた。そして、いざ墓へ。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

「十来塚」と墨書された標が、卒塔婆のようだ。

角材をラフに組んだ趣の十字架と共に、これもまた周囲に馴染んで、こう書くと妙な感じもするけれど、「和」の雰囲気を醸している。


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Aomori, SONY α390 with SONY DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM II (2017. 5)

十字架の前に埋められている御影石には「この石はイスラエル国、エルサレム市と新郷の友好の証としてエルサレムから寄贈されたものである。」と書かれていた。

意外にも、この墓はキリスト教の聖地からも温い目で見られているようだった。考えてみれば先日このブログで触れた仏舎利にしたところで、真贋性を語りはじめたら相当怪しいものもかなり含まれているわけであり、そもそもが宗教的なものに対して本物かどうかを追究し続けたところで、宗教的にはあまり意味がない気がする…歴史学的とは別にして。

17051220christfes帰り道、新郷村の商店などに『第54回キリスト祭り』のポスターが貼られているのを目にした。6月第一日曜日の午前10時から11時30分までという、お祭りにしては中途半端に思われる時間ではあるけれど、第54回という回数が、キリストの墓伝説がそれなりにこの村に定着している事実を意味するともいえよう。

このキリストの墓は、この先もモヤッと存在し続けるのだろうな。そう感じた。

余談ではあるけれど、キリストの里伝承館の売店で売られていた新郷村特産の黒飴アイスクリームがとても旨かった。伝承館の入場者は通常価格¥250のところ、なんと特別価格¥200で買うことができる。新郷村は青森で最初に酪農が導入されたところなのだそうだ。

17051221kuroameice天気のいい日にここでアイスクリームを喰らいながらキリストに想いを馳せるというのも贅沢かつ至福のひとときだったので、お勧めしたい。いやしかしここまで来るのが大変なのだけど。

さらに余談。キリスト祭りの様子をYoutubeで見つけた。


神主さんが仕切るんだ。なんとなく納得。

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May 01, 2017

[Journey] 岩手県宮古市~青森県八戸市 '17. 5. 1

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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

朝の三陸鉄道・田老駅。時間的に通勤通学ラッシュのピークに当たる。高台にある駅は、都会の高架鉄道のそれに雰囲気がほのかに似る。だが空気は圧倒的に平和でのどかだ。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

十府ヶ浦海岸(とふがうらかいがん)という駅で列車を降りる。今年3月25日に開業したばかりの新しい駅だ。近くに震災の復興事業で整備された米田高台団地ができたため、その最寄駅として村が費用を負担して作られた。また駅名になった十府ヶ浦海岸はリアス式海岸が続く三陸では珍しい砂浜で、紫色の小豆砂が見られるそうだ。

ということで海岸へ足を運ぶ。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

無情にも立ち入り禁止だった。砂浜の復興は、まだだった。

ここにいても仕方がないので2km先の、次の駅まで歩く。沿道には人家はほとんどない。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

広い公園があった。家がないのになぜ公園を作ったのだろう、と考えているうちに気がついた。

この道は6年前に通ったことがあった。2011年7月。三陸鉄道は田老の二つ先にある小本駅から陸中野田駅までの間が不通で、平日だけ一日二本の代行バスが走っていた。車窓から見る光景は、積まれた瓦礫と倒木がひたすら続いていた。

いま歩いているのは、その道だった。「津波浸水区間」と書かれた間にいる。おそらくここも災害危険区域(住宅制限区域)になったのだろう。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

次の駅に着く。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

見覚えがあった。陸中野田駅。6年前に代行バスから乗り換えた駅だった。


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Iwate, SONY α390 with MINOLTA AF ZOOM 24-85mm F3.5-4.5 NEW (2017. 5)

6年前にホームから眺めたときは錆びついていた線路の上を、列車が走ってくる。思わず胸熱に。

もっとも、ついさっきまで乗っていた区間なのだけど。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

三陸鉄道の終点・久慈駅。かつてNHKドラマ「あまちゃん」の舞台だった。

あれから4年が経った。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

駅前デパートの掲示は当時のまま、若干くたびれていた。

駅前といえば、3年前にここに来たときに気になっていたものがあった。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR410 (2014. 7)

大胆にもすべて使用不能だったコインロッカー。

しかし今日たしかめると…


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

「全部、このコインロッカーは故障のため…」(以下、紙も破損)の表示はなくなっていた。使えるかもしれない。カギのついているロッカーに荷物を入れ、お金を入れる…しかし表示が錆びついていて、金額がいくらなのかわからない。100円玉を1枚ずつ入れていくと、200円で施錠した。

ミニお役立ち情報。久慈駅前のコインロッカーは、料金200円。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)
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市内にある長泉寺でご朱印をいただく。「銀杏山」とあるように、境内には大きなイチョウの木がある。紅葉の頃は見事な姿なのだろう(今日はまだ葉っぱが出ていない状態だったので画像は略)。

書置きのご朱印を賜るとき応対していただいたおばあさんが語尾に「…けろ」を付けて話していたのが、何か可愛らしかった。「けろ」はこの地方の方言で「…ください」という意味。「あまちゃん」で、のん(本名・能年玲奈)さん(←今の彼女の名前はこう表記するのが正しいみたいだ)が乱用していたのを思い出す。

久慈駅の近くに「あまちゃん」のロケ風景の写真や実際に使われた小道具を展示する「あまちゃんハウス」ができていた。

この町では、まだ「あまちゃん」は観光の主役だ。いやしかしこのドラマを見ていた私には、ここの展示物は結構楽しめたけど。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

その「あまちゃん」に登場していた喫茶店のモデルになったといわれる喫茶モカで昼食。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

有名なお店のようで、久慈を訪れる著名人はかなりの高確率でここに来るのではなかろうかと感じるくらい、店内にはサインがたくさん展示されていた。ナポリタンおいしゅうございました。

午後は、「あまちゃん」ロケ地のメインステージともいえる小袖海岸へ行く。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

バスは一日3本。秘境である。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

ドラマのロケ地だった面影が随所に残る。しかし観光客の姿はまばらだ。昔からここは「北限の海女の地」として知られていたけれど、アクセスが不便で訪れるのは容易ではない。

海岸のそばに「小袖海女センター」という三階建ての建物があった。屋上から海岸を見下ろす。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

建物の中を見る。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

そろそろクドさを感じてきた。

久慈駅へ戻り、JR八戸線で北へ。海沿いを走る列車に揺られるうちに日が暮れる。


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Iwate, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

八戸市の中心にある本八戸駅の、ひとつ手前にある小中野駅で下車。住宅地の中を10分ほど歩く。闇の中に、今宵の宿の灯りが浮かぶ。

思わず身構える。


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Aomori, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 5)

…。

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