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June 2016の2件の記事

June 18, 2016

[Tour] 宮城県石巻市~女川町 '16. 6.18

昨日のクマの件を考慮し、今日はなるべく街中を歩こうと意識する。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

石巻駅からスタート。石巻の人口は市のサイトによれば、現在、およそ148,000人。だが「行方不明の方や登録上の住所から離れて避難生活をしている方等が相当数含まれているものと予想されますので、予め御了承ください」との但し書きがある。要は、市内に住民登録がされている人をすべて数えたものだと考えられる。ひと口に人口といっても、実態をつかむのは、普通の町以上に簡単ではない。

以前、石巻は「内は内で」の感覚が強いと聞いたことがある。周囲を山と海に囲まれた閉ざされた地形の中にあるけれど、都市として発達しているため、外に出ていかないという。その言葉を思い出したのは、町歩き中に三越を発見したときだ。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

人口15万の地方の町にデパートがあるのが、意外に見えた。けれど、「仙台まで行かなくても、うちには三越があるもんね」という誇らしげな声が聞こえてくるような気がした。

市街地や沿岸部を見渡すことができる日和山に登ろうと、道を尋ねる。「この道をまっすぐ行くと『たい平(たいへい)桜』って木があるんで…」といわれた。名前からして由緒のある木なのかな、と思いつつ、教えられた道を進むと、たい平桜はほどなく見つかった。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

傍らに説明があった。

由来

テレビ番組「笑点」でお馴染みの「林家たい平」師匠は、大学の卒業を控え落語家の道を歩むべきか悩み、自分を見つめる旅に出ました。
電車を乗り継ぎ立ち寄った石巻の養老施設で落語を披露することができ、たくさんの笑顔に出会いました。
その感激を抱きながら「日和山」に登り、まだ幼木だったこの桜の木の前に立ち、石巻の街に向かって、落語家になることを決意しました。
そのようなことから、この桜を「たい平桜」と命名し、師匠と桜の木が大樹となるよう管理していくことにしました。

平成二十八年四月二十一日
林家たい平師匠石巻応援隊

たい平桜は、二ヶ月前に案内板ができたばかりの超フレッシュなチェリーだった。ついでにあとで調べたところ、たい平さんは私と同い年であることもわかった。今まで、笑点に出ている人は全て自分より年上だとばかり勝手に思いこんでいた。ここで、私も年をとったと考えるべきなのか。いずれにせよ、私には、自分の名前をつけてもらえるかどうかを置いといても、そもそもモニュメントになるような木は存在しないので、羨ましい。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

16061805gosyuin日和山に着く。標高およそ60m。名取や仙台の同名の山より、はるかに高い。

山頂にある鹿島御児神社で、ご朱印をいただく。

松尾芭蕉も日和山を訪れていた。

人跡稀に雉兎蒭蕘(ちとすうぜう)の往かふ道そこともわかず、終に路ふみたがえて、石の巻といふ湊に出。こがね花さくと詠みて奉りたる金花山海上に見わたし、数百の廻船入江につどひ、人家地をあらそひて、竈(かまど)の煙立つゞけたり。思ひがけず斯る所にも来れる哉と、宿からんとすれど、更に宿かす人なし。
(「おくのほそ道」)

芭蕉が「数百の廻船が集まり、人家が建ち並んで、かまどの煙が立ちつづけている」と描いた、港の方向を見る。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

沿岸部は津波の被害を受け、芭蕉に「こんなところにこんな栄えた港があるとは」と思わせた面影はない。だが、山の麓に近いところに、大きな建物を建てているのが見える。山を下りて近くに行ってみる。

「復興公営住宅建設中」と幕が掲げられている。この住宅に入居できるのは「東日本大震災で住宅の『り災判定が全壊』または『り災判定が大規模半壊又は半壊』で解体を余儀なくされ、現に住宅に困窮していることが明らかな方」となっている。

ここでまた、復興途上の現実を知る。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)


市街地を流れる旧北上川の中州にある「石ノ森萬画館」へ足を運ぶ。漫画家の故・石ノ森章太郎氏の記念館。外観は、宇宙船をイメージしたのだそうだ。石ノ森氏は石巻市の出身というわけではなく、生まれ育ったのは宮城県登米郡石森町(現在の宮城県登米市)。だが、中学・高校生の頃に自転車で2 ~ 3時間かけて石巻市の映画館に通っていたことから、石巻市は「第二の故郷」だったそうだ。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

石巻に思い入れのある著名人は、たい平さんだけではなかった。

館内展示で個人的に印象に残ったのは、企画展示の東村アキコさん原画展。これまで漫画の原画というのをじっくり見る機会があまりなかったのだけれど、印刷物では表現しきれない繊細なタッチが肉眼で確認できたことが興味深かった。もっとも、この方の作品は今まで読んだことがないのだけど。


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駅近くの中華料理屋に「復興の為ラーメン¥350」と掲げられているのにつられて店内へ。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

よそ者が安価なラーメンを喜んで食っていくのもいかがなものかと思い、餃子を追加注文した。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

味は普通。ラーメンは、普通がいい。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

午後、太平洋沿岸の港町・女川(おながわ)行きの石巻線列車に乗車。石巻から17km・25分。女川は原子力発電所がある町としても知られる。震災のとき、周辺の住民は原発に避難した。

列車は内湾を横に見ながら走る。うまいこと海が撮れないものかと思い、気まぐれに終点のひとつ手前の浦宿(うらしゅく)駅でおりてみた。

駅の周りを歩いた。だが、海沿いの道路は車が多く、よいポイントを見つけられなかった。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

なぜか唐突に大塚の角海老ボクシングジムの広告が貼られているのを見つける。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

この町と何の関係が?しかし「世界一近代的設備のジム」とは大きく出たな。

そしてここで帰りの列車のタイムリミットがきてしまった。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

…次回は女川からっすかね。

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June 17, 2016

[Journey] 宮城県松島町~東松島市 '16. 6.17

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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

JR仙石線の陸前富山駅で電車を降りる。線路脇に防潮堤がある、海のすぐそばの無人駅。ここも津波の影響で、電車は昨年5月まで4年間不通だった。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

「富山(とみやま)」という山の中にある富山観音を目指す。

彼方で防災無線が流れていた。

「きょう。…午前。…九時、…」

その続きは、通りかかった自動車の音にかき消されて聞き取れなかった。何を言っているのか少し気になったけれど、のんびりした口調にも聞こえたので、緊急性はあまりないのかなとも思った。

民家が点在する駅前を抜け、山道を歩く。

案内板には「1.4km」と書かれていたけれど、ずっと登り道だったので、30分以上かけて着いた。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

観音様は、門の先にある赤い観音堂の中にあるようだった。けれど、中の様子はうかがえなかった。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

境内は、ひと気がまったくない。案内板に書かれていた「松島四大観(しだいかん)」とは、古くから言い伝えられる松島を一望できる四ヶ所のビューポイントのことで、ここは、そのうちのひとつにあたる。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

松島を見下ろすことができる海側にはテーブルとベンチが置かれていた。景色はよかった。だが、なぜか長居しようという気分にならなかった。

手短かに写真を撮ってから、ご朱印をいただくつもりで、山を少し下ったところにある、観音様を管理している大仰寺というお寺さんに行く。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)


「拝観料100円」と書かれた箱にお金を入れる。箱の中に落ちた硬貨が大きな音をたてた。

…恥ずかしいな。

そう思った瞬間、左手の建物の窓が開き、中年の女性が顔を出した。表情がこわばっていた。

…?

「さっき『クマが出た』って防災無線で放送があったんだけど。聞こえなかった?」

続けて、私に向かって言った。

「…あなた、クマ?」

とりあえず否定した。

あの放送はクマ警報だったのか。しかしまさか松島でクマが出るとは予想していなかった。だが、さっき山道を歩いていたときからずっと、なんともいえない不穏な気配は感じていた。富山観音を短時間であとにしたのも、そのためだった。彼女は話しながら、私の背後をやたらと気にしていた。けれど、こうして話している間にクマが現れたところで、彼女はすみやかに目の前の窓を閉じれば済むけれど、私はそれでは困る。

16061707gosyuin取り急ぎ、避難を兼ねて建物に入れていただく。

彼女は、過去にこの辺りでクマが出た記憶はないという。

そこで私たちはまず、知る限りのクマ知識を交換した。

「クマは賢いので家の扉を開けて入ってきて、冷蔵庫を開いて中の食べ物を盗っていく」
「クマが活動するのは夕方以降が多い」
「人肉の味を覚えたクマは、人間をエサと認識する」
(注:これらが正確かどうかについてはまったく責任を持ちません)

富山観音や、このお寺の由来についても聞くことができた。観音堂は、先日訪ねた松島の五大堂と同様、坂上田村麻呂によって大同年間(806~810年)に安置された千手観音堂がはじまりと伝えられ、奥州三観音の一つにあたる。大仰寺は瑞巌寺100世の洞水禅師が寛永年間から正保初年(1624~1644年)頃に開山されたと伝えられる。また古くから風光明媚な場所として知られ、明治天皇・大正天皇や、このほかに伊能忠敬、吉田松陰といった著名人もここを訪れたそうだ。

そして、特に大仰寺の前庭からの眺めは素晴らしく、富士山を望見できたので「富山」と称したとも言われているらしい。

「前庭はこっち」と案内されたけれど、クマ警報のため、室内から顔を出しておそるおそる写真を撮るのみにとどめた。無念。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

「あの島の向こうがね、サンフランシスコ」
「ああ、松島がちょっと邪魔して見えないですねー」

冒頭の「あなた、クマ?」発言もそうだったけれど、時折関西の人のようなノリを見せる女性なので、無意識に私の対応も関西仕様になっていた。

いただいたパンフレットには、「明治天皇ご来山日時」が書かれていた。

明治9年(1876)6月28日午前7時30分頃到着
※宿泊された瑞巌寺を午前6時頃出発
主な随行者:岩倉具視 木戸孝允 大久保利通 大隈重信

このご一行が通った道を私も歩いてきたのだろうか。しかしこの面々だと随行者のための随行者も相当数いただろうし、クマの存在など気にかける必要はまったくなかっただろう。

なにげなく彼女に聞いてみた。

「クマが出たのって、私が駅から歩いて来た道のあたりですかね」

その答えは、素で私の恐怖心を斜め上から突くものだった。

「いや、駅からここまで歩いて来る人はめったにいないし、あの道は人が通らないのでクマが出たところで誰にも気づかれないと思う」

そして、歩いて帰るのはやめなさい、と釘を刺された。

結局、タクシーを呼んでいただいて駅に戻った。タクシーの運転手さんによれば、松島町でクマが出たのは「8年ぶりくらいかなぁ」とのこと。駅に着くとすぐに、待合室の扉をしっかり閉めて電車を待った。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

石巻行きの電車に乗る。やがて電車は、内陸寄りに新しく作られた線路を走る。野蒜(のびる)駅で下車。ここも二年前に来たことがあった。だが、線路が移動したことに伴い、駅の場所も変わった。


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Miyagi, SONY Cyber-shot DSC-W830 (2016. 6)

できたばかりの駅は広く、がらんとしている。近くに集落はない。昔の駅があったほうへ歩く。集落は、旧駅の近くには結構あったのだろう、と思う。…だろう、というのは、ここでも津波に流されてそのまま更地になった様子の場所が結構見られたからだ。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

500mほど離れたところにある旧駅。新駅のデザインが、この旧駅舎から若干の影響を受けているように感じる。

二年前に来たときとほぼ同じ様子で、建屋内ではファミマが営業していた。イートインコーナーもあるので、一服する。新駅からここまで来る間に商店がなかったので、助かる存在だ。駅が移動したのに店は昔の駅にあるってどうなんよ、という気もするけれど、新駅の周りは人家はおろか、道路すらできたばかりという感じだったから、考えてみれば、今は、これがまだ妥当な姿なのかもしれない。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

また、津波を受けたあと、ほぼそのままの状態で残る旧駅のホームや線路は、震災遺構として保存するらしい。

この付近は津波の被害が大きかったけれど、直接海は見えない。前回は足を運ばなかった海岸のほうに足を運ぶ。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

たまにぽつんぽつんと建物があるけれど、生活感のある家は少ない。

やがて、防潮堤を見つける。上から、砂浜を見下ろす。


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Miyagi, SONY α6000 with TAMRON 18-200mm F3.5-6.3 Di Ⅲ VC (2016. 6)

この海にも人々の思い出があったのだろうか、と、ひと気のない海岸を見ながら思う。

長い道のりを戻り、駅へ。

一服ついたところで、午前中のクマに関するニュースを詳しく調べる。

わかったのは、まず、クマが出たのは午前9時半頃。私が陸前富山駅に下りる1時間前だ。場所ははっきり特定できなかったけれど、地名から判断すると、このあたりだった。


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…って、ほぼ被ってますやん。

これはちょっと今後の行程を考え直さないと…

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