« あまちゃん | Main | [Prowl] 日本寺(千葉県安房郡) '14. 1. 1 »

October 27, 2013

[Tour] 京都府京都市 '13.10.27

現世と、あの世を分ける三途の川のほとり、賽(さい)の河原。

その「賽」は、道祖神の別名のひとつである賽(さえ)の神に由来するというのが、現在では通説とされている。しかし、京都市・西大路四条近くの西院が元であるとする説や、やはり京都市内を流れる鴨川と桂川が合流するところにある「佐比の河原」がそうだとする説もある。佐比の河原には、地蔵の小仏や小石塔が立てられた庶民葬送が行なわれた場所があったといわれる。

今回の関西ぶらり探訪は、この謎を考えつつ、京都を歩く。

スタートは、西院。ここには阪急電鉄と京福電鉄のふたつの駅がある。しかし読み方は阪急が「さいいん」、京福は「さい」で、違っている。


1310121saiingu
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

この「さい」も、平安時代にこの近くにあった淳和天皇の離宮・淳和院が、皇居の西の方角にあることから、「西院(さいいん)」と呼ばれていたものが縮んで「さい」になった説と、西大路付近を並行する春日通の別名・佐井通(さいどおり)からとられた説がある。上の画像の西院宮(さいいんぐう)は、その佐井通沿いにある春日神社の境内にあり、淳和天皇が祀られている。佐井通は、以前は佐比大路といわれ、道沿いを流れていた佐比川から名付けられたらしい。


1310272saist
1310273sijoukasuga
Kyoto, SONY α390 with SONY DT18-135mm F3.5-5.6 (2013.10)

しかしこの「佐比大路」、「道祖大路」と書いて「さいおおじ」と呼ばれたこともあったそうだ。ということは、その「道祖」は、もしかして「道祖神=賽の神」の「賽」に通じるのではないかと考えていくと、頭がこんがらがっていく。


1310274saikawara1
Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013.10)

西大路四条の北東角にある、高山寺。入口に「西院(さい)之河原」と書かれている。

本堂の前に、百体以上の石仏が集められている。これらは、江戸時代には西院磧(さいかわら)の地蔵といわれていた。賽の河原西院起源説の裏づけでもある。


1310275saikawara2
Kyoto, SONY α390 with SONY DT18-135mm F3.5-5.6 (2013.10)

だが、もし、この高山寺近辺が「賽の河原」であったならば、「賽」の第一義は、西院という地名に由来することになる。そして、佐井通の南端近くにあったといわれる佐比の河原と、ここの西院磧は、音(おん)が似ているだけで、無関係であるようにも思われる。

佐井通とほぼ並行する、西大路通を走るバスに乗って市内を南下する。JR東海道本線を越え、国道大手筋という停留所で下車する。ここから10分ほど歩くと、桂川と鴨川の合流点がある。

桂川といえば京都市西部の嵐山辺りの風景が有名で、これに対して鴨川では、古くからの繁華街に架かる三条・四条大橋などが思い浮かぶ。だが、二つの川の合流点がどんなところであるかはほとんど知られていない。


1310276junction
1310127delta
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

堤防を上ると、川の向うに、荒れた中州状のデルタ地帯が見えた。ここがふたつの川の交わるところだ。


1310129delta3
1310128delta2
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

まさに、この世の果てのようにも見える。もっともこれは、先日、京都市内に被害をもたらした台風の影響もあるかもしれない。

さらに少し歩いたところに架かる橋の上から、川を見下ろす。


13101210junction2
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

右が鴨川、左が桂川。どちらも、市内中心部を流れる優美さは、ここでは微塵も感じられない。

合流点の傍らに、お寺があった。一念寺という。境内にあった説明によれば、674年に造られた法相宗の寺が、15世紀に後亀山天皇の皇子、真阿(しんな)上人によって再興され、現在に至っているという。真阿上人は、この寺の前を流れる川に水葬され、それからこの辺りは真阿ヶ淵と呼ばれて、以後、長い間、殺生禁断の地とされてきたとも書かれている。


13101211temple
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

見た目と違い、どうもこの場所は賽の河原とは違うような気もしないではないように思えてきた。

さて。いい感じに陽が傾いてきたなーと思っているうち、京福電車の西院駅の写真を撮るのを忘れていたことに気づいた。やっぱり「さい」と読む駅は撮っておかなければ、と思い、来た道を戻る。駅に着いたときは、すっかり暗くなってしまっていた。

西院駅は、四条通と交差する踏切の脇にある。電車が近づき、警報機が鳴り出した。


13101212saistn
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)

なんともいえない脱力系の音。だが、それを聞いたとき、私は大学生の頃を思いだした。通学の途中、西大路四条で市バスを乗り継いでいたことがあった。バスを待つ間、たまに、この音が聞こえていた。少なくとも四半世紀以上の間、「さい」の踏切は、変わることなく生気のない調子で鳴り続けてきたのだ。


13101213saistn1
Kyoto, SONY α390 with MINOLTA AF24mm F2.8 NEW (2013.10)


もしかすると賽の河原は、この踏切にあったのかもしれない。

だるそうに鳴る鐘の音を聞いた途端、今までさんざっぱら考えてきたことは一切忘れて、そんな元も子もないことを連想しながら、駅を後にした。

|

« あまちゃん | Main | [Prowl] 日本寺(千葉県安房郡) '14. 1. 1 »

■Journey」カテゴリの記事

#Japan」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« あまちゃん | Main | [Prowl] 日本寺(千葉県安房郡) '14. 1. 1 »