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April 28, 2013

[Tour] 夕子の歩いた道を辿る(9) ’13. 4.28

金閣寺(京都府京都市)

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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

作品では「鳳閣寺」という名で登場する金閣寺。金閣の頂には金銅製の鳳凰が付いている。金閣が火災にあったときには、たまたま取り外されており難を逃れた。1999年には、京都市指定文化財に指定された。

「鳳閣はこの池の北畔に建っている…頂上の中央部に、金箔でぬりつぶされた鳳が、羽をひろげて池の水面をにらみとまった恰好にみえる。鳳がいることによって鳳閣といわれたのである」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.172-173)

水上は、ここから鳳閣寺の名前をつけた。なお現在の金閣の屋根上に付いているのは、やはり別のもので、オリジナルは屋内に保管されている。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

1398年(応永5年)に完成し、応仁の乱で周囲の多くの建物が焼かれたときも残った金閣は、1950年7月2日未明、林養賢の放火で焼失した。

金閣は1952年から3年かけて、古文書などを参考に修復された。焼失前の金閣は、金箔が剥げた簡素な姿だったといわれていた。しかし建て替えられた金閣は、金ピカだ。だが、それは、よりオリジナルに近い姿であるといわれていた。

しかし、復元後の金閣も10年経ったころからやはり金箔が剥がれはじめ、下地の黒漆まで褪せてきたため、1986~87年にかけて「昭和大修復」と呼ばれた再修復が行なわれ、現在に至る。

おそらくそのとき、そう簡単には劣化しない修復が施されたものと思われ、その後四半世紀以上経った今、劣化や改修等の話を聞くことはなくなった。けれども、焼失前の造りに忠実に復元したのであれば、金箔が剥がれやすかったり、下地が色褪せたりすることも、仕様のひとつではなかったのだろうか。そうであればそのまま放っておくほうが、かえって趣が出てよかったのではなかろうかと私なんぞは思ってしまうのだけれど、おそらくそれは、関係者の美意識とは違っていたのだろう。もっとも金箔が剥がれて吹っ飛んでいくのももったいないことではあるし、そしてやっぱり現実は、金ピカ状態が維持されたほうが望ましい姿だとマジョリティの方々は感じるのであろう。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

養賢は金閣に火を放ったあと、寺の裏手に当るところに位置する左大文字山に登った。

「…自分も三階へあがつて金閣と一しよに死のうという考えがおき、二階へ上ろうとしたが鍵があかない。…恐ろしくなつて急に金閣をとび出し、池のへりにすくんで、金閣の燃えるのを見ていたが、火勢が大きくなると、池の岸ではよく見えないので、山へのぼつて見ようと考え、不動堂のわきから大文字山へ走りあがつた」
(「金閣炎上」〔新潮文庫〕p.233)

養賢は、この日の夕方、山の中腹で催眠薬のカルモチンを飲んで苦しんでいたところを逮捕される。五番町夕霧楼の櫟田正順も、この間の行動は、おおよそ養賢に倣っている。

地図上では、金閣寺から左大文字山へ、ほぼ一直線の山道が通じている。しかしこの道は、現在、通行止めとされている。寺から見ると、山の西側から回り込む形でもうひとつ登山道があり、こちらは通ることができるので、途中まで登ってみた。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

振り返ると、京都市街が眼下に見える。死ぬつもりだった彼は、そのとき、金閣寺の向うに拡がる市街の眺めまで気が回っていたのだろうか。もし気付いていたら、きっと、もっと別のことを想うところがあっただろう。そんな、豊かな景色だ。

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