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April 28, 2013

[Tour] 夕子の歩いた道を辿る(6) ’13. 4.28

五番町(2)(京都府京都市)

再び五番町へ足を運ぶ。

夕霧楼はこの町のどこにあったのか、具体的に考えてみたい。

かつ枝が夕子の貯金通帳を郵便局で作るくだりがある。そこで彼女は夕霧楼の住所を書いている。

「かつ枝は、局員からさし出された紙切れに、右上りの下手くそな楷書で、京都市上京区中立売通り千本西入ル五番町一二三番地夕霧楼、片桐夕子と時間をかけて書き、新しい楕円形のハンコに、はあーっと息をふきかけてさしだした」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.70)

地図サイトで123番地を探してみた。けれども見つけることはできなかった。実在しない番地なのかもしれない。

他にも、いくつか夕霧楼の場所のヒントが書かれている箇所はある。

「夕霧楼は、千本通りからわずかに入った角の地に建っていたが、その建物はずいぶん古びていた」
「そのよく朝、まだ妓が起きない時刻に、かつ枝は急に思いついたように、茶羽織をひっかけて表へ出ていった。かつ枝は、同じような妓楼の建物が両側にならんでいる、人影まばらな通りを左に折れて、電車通りへ出た。千本通りだった」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.23, 69)

五番町は、南北に200m、東西は100mの大きさしかない。実は小さな町である。遊廓は五番町の周りまで広がっていて、その中心にこの町があったのだ。あらためて地図で調べると、五番町の中で「左に曲がって千本通に出る道」はひとつだけ。現在、千本日活のある場所から東へのびる上長者町通だ。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

画像の前に広がる道が上長者町通。その先に見える信号機が千本通との交差点だ。

千本日活の向かい側には、今はマンションが建っている。そこから千本通までは約60m。番地以外は、このマンションが夕霧楼の場所にほぼ合致しているのではないかと思う。先述した通り、千本日活は五番町遊廓の組合事務所があった場所だ。夕霧楼は、五番町の真ん中にあると想定していたのだろう。

ついでに、かつ枝が通帳を作った千本通の郵便局の場所も検証してみる。

「静かな町を早足で歩くと、本屋や、床屋や、喫茶店などがならんでいる向い側の軒下へよって、間口のせまいハンコ屋を思い出してさがしはじめた。やがてその店がみつかると、そこで『片桐』とした三文判を買った。そうしてかつ枝は、そのハンコ屋から四軒ほど南へ下った地点で、黒い制服を着た郵便局の若い男が表に打水をすまして、今しがたドアをあけたばかりの、スタンプインクの匂いのする、局の中へ入っていったのだった」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.70)

ここもやけに描写が細かい。けれども今、この辺りには郵便局はない。私が住んでいた頃の記憶にもない。仮に実在していたとしても、だいぶ前に移転もしくは廃止されてしまったものと思われる。

しかしかつ枝が三文判を買ったハンコ屋の場所あたりに、文具店があった。彼女は、郵便局が開いたばかりの時間にハンコを買っている。登校する生徒のために朝から店を開ける地域密着型の文房具屋は、昔は結構あった。ここもそうなのだろうか。朝9時少し前、かつ枝が出かけたのと多分ほぼ同じ時間に五番町から千本通に出て丸太町の方向へ歩く。すると、件の文具店は、既に開店していた。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

この店では切手や印紙も扱っている。もしかすると、近くに郵便局があった名残かもしれない。必ずしも文具店が三文判を扱っているわけではないけれど、ハンコを買った店は、ここでよいという気がする。なお、ここから四軒ほど南へ下ったところには、真新しい担担麺の専門店があった。

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