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April 27, 2013

[Tour] 夕子の歩いた道を辿る(5) ’13. 4.27

団栗橋(京都府京都市)

「…そんなら、九時にな、どんぐり橋上がったところの『あすなろ』で待っとるか」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.39)

甚造が夕子と初めて会うときに指定した「あすなろ」という店があった、どんぐり橋。「団栗橋」と書くこの橋は、京都随一の繁華街・四条河原町から200mほど下ったところにある、鴨川に架かっている。

日が落ちてから、団栗橋を訪ねる。鴨川には三条大橋、四条大橋や五条大橋など有名で大きな橋がいくつもあるけれど、団栗橋はその間にあって、目立たず地味な佇まいである。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

夕子が来た1951年と現在とでは大きく変わっているのは当然としても、古くからの盛り場のすぐそばにあるのに、この周囲だけが寂れたとは考えにくい。

この橋については、こんな記述もある。

「…あんたはん、まじめなとこへゆこいうて、京へ出やはったはええけど、すぐにまじめなとこやめてしもて、橋下やら、木屋町のどんぐり橋あたりで、パンパンしてはる娘はんはいくらもいやはりますえ」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.15)

都会の中の闇、的な場所だったのだろうか。河原町には何度も行ったことのある私も、団栗橋の存在は、実はこの本を読むまで知らなかった。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

「あすなろ」については、店の様子が結構詳細に描かれている。

「どんぐり橋の『あすなろ』は、川底の高い高瀬川に裏口をみせていて、かなり古い名の通ったバアだった…川べりの窓のボックスに坐ると、高瀬川の川草が昆布のように浮いて流れてみえる。澄んだ川面が夜明りをうけて光っている。なるべく川のみえるボックスに座をとって、かつ枝は夕子にジュースをとってやり、自分はウィスキーの水わりをたのんで、少しずつすするように口をつけて待っていた」
(「五番町夕霧楼」〔新潮文庫〕p.40)

だが、実際に歩いてわかったことだけれど、団栗橋から上がったところには、窓から直接高瀬川を見下ろせる店はなかった。川と建物の間に歩道が通っているのだ。逆に南の方へ進んでいくと、団栗橋から続く道と交差する地点から十数m下ったところで歩道は途切れており、そこからしばらくは、高瀬川沿いに数軒の店が並んでいる。意外に感じたのは、川沿いの店の全てがリバービューの作りになっているわけではなく、窓のない壁だけが岸に面している店もあることだった。木が繁っていて昼間でもあまり明るくなさそうだし、川面の眺めは意外にショボいのかもしれない。


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Kyoto, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 4)

もっとも、対岸の道路から木漏れ灯の如く店内が光っているのが垣間見えるのは、非常にムードがある。水上は川向こうからの景色を見て、ここに夕子を連れてくることを考えたのかもしれない。

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