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May 01, 2012

[Tour] TAIWAN '12. 5. 1

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Hualien (TAIWAN), PENTAX Optio S1 (2012. 5)

朝、ホテルの窓からこの雲を見ることができただけで、正直、今日はもうどこへ行かなくても十分に満足感が得られた気がした。

まーそうは言っても日程に余裕があるわけでもないので、早朝の列車に乗る。目的地は、武塔。武塔は、普通列車だけが停まる無人駅。その普通列車は、1日7本しかない。筆談できっぷを買うとき、駅員もちょっとびっくりしていたようだった。

ここには「サヨンの碑」がある。サヨンとは、武塔の村からさらに奥にあるタイヤル族のリヨヘン村に住んでいた少女。1938年、その村で働いていた日本人警官に出征の命令が下り、村を去るときに、警官の荷物運びを買って出た当時17歳の彼女が、村からふもとに降りる途中で丸木橋から足をすべらせて亡くなってしまった。それを知った当時の日本人台湾総督が、これを愛国美談として、記念の鐘をリヨヘン村に贈り、「愛国乙女サヨン遭難の碑」を遭難場所近くに建てた。この話は戦時中の日本では結構もてはやされたようで、1941年には「サヨンの鐘」という歌(それも、作詞・西條八十、作曲・古賀政男、歌・渡辺はま子という、私でも名前を知っている豪華なメンツによる)になり、1943年には映画化までされた。

しかし敗戦後、国民党政権によって、サヨンの碑は碑銘の一部を削られ、鐘とともに捨てられてしまった。だが後にそれを地元住民が拾い上げて建てなおし、鐘も復元されているという。


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Yilan (TAIWAN), PENTAX Optio S1 (2012. 5)

列車を下りてから武塔の駅から見えるドライブインへ足を運ぶと、サヨンの鐘があり、そばに周辺の案内図もあった。鐘は、ごっつい鳥居と共に保存されていた。この場所が昔は神社だったというわけではなく、日本統治の象徴みたいなものとして作られたようだ。

ここからしばらく歩くと武塔の村落があり、村の外れにサヨンの碑が立っていた。


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Yilan (TAIWAN), SONY NEX-5 with SONY E16mm F2.8 (2012. 5)

削られたのは、「愛国」という文字と彼女の名前が彫られていた箇所。碑を造った当時の日本人、碑を削った国民党関係者、この場所に再び碑を立たせた地元の人の心情が、皮肉にも、一体となって、今、ここにあるように見える。


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Yilan (TAIWAN), SONY NEX-5 with SONY E16mm F2.8 (2012. 5)

碑からさらに数十分歩き、彼女の名をとって付けられた「サヨン橋」に出る。この近所に、彼女が住んでいたリヨヘン村があるという。しかし橋の先を見ても、緑ばかりで、集落らしいものは見えなかった。立派な橋が架かっても、環境そのものは当時と変わっていないのかもしれない。

いったん花蓮に戻り、午後は豊田村へ行く。ここもまた日本くさい地名だ。駅から数十分歩くと、唐突に鳥居が現れる。しかも鳥居には「碧蓮寺」とがっつり表示が入っている。

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Hualien (TAIWAN), SONY NEX-5 with SIGMA 30mm F2.8 EX DN (2012. 5)

ここは、日本統治時代に神社として作られたところを、戦後、寺院に改宗したという。鳥居から山門まではまっすぐ参道が伸びている。しかし、その間に商店が一軒もないのが異様だ。


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Hualien (TAIWAN), SONY NEX-5 with SIGMA 30mm F2.8 EX DN (2012. 5)

山門も、明らかに鳥居を改造しましたという造り。境内には手水場や狛犬も残されていた。この無理矢理感、日本人の目で見ると罰当たりのようにも思われる。しかし考えてみると、むしろ、こんな所に神社を作ってしまったことの方が、よっぽど罰当たりなことではなかったのかという気もする。広い境内があるにも関わらず参拝者はまばらで、戦後65年経っても、近くに参拝者向けの店が一つもなく、参道が近所の犬のランニングロードとなっている。大きな寺なのに、近所の住民に愛されていない実態を目の当たりにすると、怒り、というより、やりきれない気持ちにさせられた。

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