November 23, 2017

[Tour] まだ乗ったことのないJR西日本の路線に乗る '17.11.23

「まだ乗ったことのない~シリーズ」も、対象になる路線が残り少なくなった。今回は仕事で広島へ出張したついでに、西日本のいくつかの路線を巡る。


山口線(新山口-益田)

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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

新山口駅の山陽新幹線ホームの方面表示には、東京駅では見ない「鹿児島中央」の文字があった。山口線はここから県庁所在地・山口、観光地として有名な津和野を通って島根県の益田に至る。

山口や津和野には高校の修学旅行で訪れたことがある。そのときは貸切バスで各地を巡った。しかしそれ以来、この地方を旅行する機会はなかった。東京から時間的に遠い。九州ならば飛行機で行こうという気になるけれど、飛行機があまり好きではない私には、飛行機に乗る覚悟が必要なほど遠くなく、かといって新幹線で行こうとすると東京から4時間半もかかることが、これまで足を遠のかせていた。


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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

山口線は観光客向けに蒸気機関車が走ることで知られる。今日は祝日だけど、蒸気機関車の列車はお休みのようだった。

行程を考えたとき、最初は、気が向くままに途中下車しながら行こうと考えていた。けれども、この線もこれまで乗り残してきたローカル線と同じように列車の数は多くなかった。途中の山口駅あたりまでは30分から1時間に1本程度の列車があるけれど、そこから先、津和野のほうへ行くのは、日中は数本しかない。これから乗る列車は山口駅の二つ先の宮野駅行き。その約1時間後に出る次の列車は終点の益田まで行くけれど、その次の益田行きは2時間後。従って途中で寄り道ができるのは宮野駅までの間のどこか一ヵ所で1時間だけ、と見込んで列車に乗る。


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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

山口駅が近づく。山口市には「サビエル記念聖堂」というカトリックの聖堂がある。そこは高校のときに来た記憶がある。もっとも覚えているのは「サビエル」と「山口」の二つのキーワードだけで、どんな所だったかという記憶は残っていなかった。そこで、思い出しつつここに寄ろうと思い、車中で地図を調べる。だが、駅から少し離れているようだった。駅との往復に時間がかかると、見学できる時間は少なくなってしまう。

悩むうち、列車は山口駅を発車してしまった。何があるかわからぬけれど、終点まで乗りとおすことにする。


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Yamaguchi, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017.11)

列車の終点・宮野駅。無人駅だけど、木造のしっかりした駅舎がある。駅前にある大きな木は「カイズカイブキ(貝塚伊吹)」という。ヒノキ科の木で、1917年に駅ができたとき記念に植えられたものだと説明があった。

案内図があったので、近くに何か見どころはあるだろうかと眺める。


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Yamaguchi, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017.11)

大学がある以外には何もなさそうだ。

駅から少し歩くと広い道に出た。山陰道だ。本州の西端に近いこの場所は、山陰道の終着地に近い。

道路沿いに喫茶店を見つけたので、一服がてら昼食をとる。


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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

小さなお婆さんが営む店だった。サンドイッチを注文すると、カウンターにいた常連さんらしき人と、開催中の大相撲九州場所について熱く語らいながらゆっくりと手を動かして作っている様子で、そうしてできあがったサンドイッチをゆっくり食べて店を出ると、もう、次の列車の時間が迫っていた。なので、これで山口線の途中下車終了。再び列車へ。


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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

乗っていて感じたのは、思っていたほど険しい山間を走らないことだった。今まで見た山口線の列車の写真は、深そうな山の中を煙をもくもく吐いて走る蒸気機関車のものがほとんどだった。考えてみれば蒸気機関車は上り坂でたくさん煙を出す。煙が多いほうが蒸気機関車は絵になるから、山の中を走る写真を多く見てきたわけだ。ゆえに沿線はほとんど高い山の中にあるように錯覚していた。


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Yamaguchi, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

途中駅のホームで見たハイキングコースの案内。県内最高の標高が1,263mだから、それほど高い山ではない。夕方近くに終点の益田駅へ着く。


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Shimane, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017.11)

山陰本線に乗り換え。日が落ちて色を失いつつある日本海を見ながら列車は走る。


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Shimane, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

ふと、どこか海辺の駅で途中下車したくなる衝動に駆られるけれど、降りたら寒さで絶対に後悔するに違いないと思いとどまる。江津(ごうつ)駅に着いたときにはすっかり暗くなっていた。


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Shimane, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)


三江線(江津-川戸)

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Shimane, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

江津。さんずいの付く字が二つ重なっているのだから、水際が近くにあることは容易に想像できる。町の北は日本海に面し、東側には江の川(ごうのかわ)という大きな川が流れている。この、江の川に沿って広島県の三次(みよし)に至る路線が三江線だ。三江線には2013年に一度乗ったことがあった。だがそのときは江津と、途中駅の浜原の間が豪雨の影響で不通だった。運休区間は、「JR代行車」と書かれたマイクロバスよりも少し小さい大型タクシーが走っていた。


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Shimane, SONY Cyber-shot DSC-RX100 (2013. 9)

その後路線は復旧したものの、この車で代わりが務まる程度の規模だったから、来年4月限りで廃線が決まってしまった。


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Shimane, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017.11)

次の19時8分発浜原行きは、三江線の終列車だ。ひと気のない駅で列車を待つ。


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Shimane, CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-ZR4000 (2017. 11)

掲げられた幟に書かれている言葉が「乗って残そう」とか「廃止反対」とかいった類でなく「ありがとうJR三江線」なのが哀愁を感じさせる。一両編成の列車に乗り約30分。川戸駅で下車。


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Shimane, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017.11)

今晩は、近くにある駅前旅館に泊まる。

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September 22, 2017

線量 南樺太

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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

今回の旅ではユジノサハリンスク(旧・豊原)とスタロドゥプスコエ(旧・栄浜)で計測。いずれも測定器で計ることができる下限値(0.05μsv/h)未満だった。

ここで、今まで旅先で計ってきた値をまとめてみる。


国(地名)年月線量(μsv/h)
南樺太(旧・栄浜)2017/90.05未満
南樺太(旧・豊原)2017/90.05未満
中国(景洪)2016/90.13
タイ(バンコク)2015/90.08
タイ(チェンコン)2016/90.05
タイ(ノーンカイ)2016/20.07
ラオス(フエサイ)2016/90.10
ラオス(ヴァンヴィエン)2016/20.05
インド(デリー)2015/9 0.08
インド(レー)2015/90.18
インド(国内線機内)2015/9 0.57

福島第一原発事故の後、国内の線量を聞いてもいったいいくつまでが安全なのかわからなくなってしまったけれど、海外で計った数値と比較してみるとなんとなく世間相場?のようなものが把握できるような気がする。

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September 21, 2017

[Tour] 旧・栄浜村 (Starodubskoe)/南樺太 '17. 9.21

1923年7月31日、詩人・宮沢賢治は東北本線花巻駅から青森行き夜行列車に乗り、北へ向かった。賢治は前年に実妹を亡くしていた。彼女の魂が北へ飛んでいったと感じた賢治は、それを追って旅立ったという。列車と船を乗り継いで8月3日の朝に南樺太・大泊港に着くと、鉄道で行くことができる最北の地を目指した。終着駅はオホーツク海岸沿いにある栄浜だった。3日の夜、栄浜に着いた賢治は夜通し海岸を歩き、そのときの印象を作品に残した。

私も、この町を旅の終着駅にしようと考えた。栄浜は現在、スタロドゥプスコエという村になっている。

スタロドゥプスコエ。

一度聞いただけで復唱できる地名ではない。

スタロドゥプスコエへは、ユジノサハリンスクから路線バスを乗り継いで行く。所要時間は約2時間。鉄道はソ連支配後も残っていたけれど、1995年に廃止された。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

スタロドゥプスコエ行きのバス。

…スタロドゥプスコエ。

乗る前に二、三回呟いて練習してから、運転手に行き先を告げた。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

スタロドゥプスコエのバス停で車を降りると、その先は砂利道が続いていた。舗装道路もバス停で終点だ。

いまさっきの曠原風の荷馬車がくる
年老った白い重挽馬は首を垂れ
またこの男のひとのよさは
わたくしがさっきのあのがらんとした町かどで
濱のいちばん賑やかなとこはどこですかときいた時
そっちだらう、向ふには行ったことがないからと
さう云ったことでもよくわかる
いまわたくしをしんせつなよこ目で見て(その小さなレンズにはたしか樺太の白い雲もうつってゐる)

(宮沢賢治『オホーツク挽歌』)


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

賢治がひとのよい男に会ったであろう、古い民家がぽつぽつと建っているだけの、それでもおそらく村の目抜き通りと思われる一本道を歩く。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

…栄えていない。

家の脇から姿を見せた犬に吠えられる。だが性格の悪い犬ではないようで、しばらくすると、黙って後をついてきた。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

犬といっしょに海岸へ出る。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

まっ赤な朝のはまなすの花です
ああこれらのするどい花のにほひは
もうどうしても 妖精のしわざだ

(宮沢賢治『オホーツク挽歌』)

残念ながら、はまなすの花の時期は逸してしまったようだった。

浜にうち上げられた昆布の臭いが鼻をついた。ロシア人は昆布あんまり食べないのかな。もったいないな。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

この海岸では琥珀が取れるそうだ。それ目当てと思われるロシア人をちらほら見かけるけれど、飽きた様子ですぐに帰っていく人が多く、広い海岸はがらんとしている。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

爽やかな苹果青(りんごせい)の草地と
黒緑とどまつの列
(ナモサダルマプフンダリカサスートラ)
五匹のちいさないそしぎが
海の巻いてくるときは
よちよちとはせて遁げ
(ナモサダルマプフンダリカサスートラ)
浪がたひらにひくときは
砂の鏡のうへを
よちよちとはせてでる

(宮沢賢治『オホーツク挽歌』)


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

目の前に佇むイソシギの姿は、たぶん賢治が見たときと変わっていないのだろうなと感じた。

私についてきた犬も、やがて海に飽きてきたようだった。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

その後しばらくの間、流木に腰かけて単調な海を楽しんだ。そのとき私も、北を目指した旅の終着点をここにしてよかったと思った。


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Karapto/Sakhalinskaja, SONY α6000 with SONY E18-55mm F3.5-5.6 (2017. 9)

そして、ほんとうに、こんなオホーツク海のなぎさに座って乾いて飛んで来る砂やはまなすのいい匂を送って来る風のきれぎれのものがたりを聴いているとほんとうに不思議な気持がするのでした。それも風が私にはなしたのか私が風にはなしたのかあとはもうさっぱりわかりません。またそれらのはなしが金字の厚い何冊もの百科辞典にあるようなしっかりしたつかまえどこのあるものかそれとも風や波といっしょに次から次と移って消えて行くものかそれも私にはわかりません。ただそこから風や草穂のいい性質があなたがたのこころにうつって見えるならどんなにうれしいかしれません。
(宮沢賢治『サガレンと八月』)

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